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株/投資/ヘッジファンド/きまぐれぽんた

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地団駄

9日のサッカー・ワールドカップ(W杯)決勝でのフランス主将ジダン選手の退場劇。
大会の最優秀選手にも選ばれたジダン選手が退場となった頭突きの理由は何だったのか。
同選手は涙ながらに黙って退場し、頭突きした相手のイタリアのマテラッツィ選手も
沈黙したまま。レッドカードの背景が世界的に関心を集めている。

アルジェリア系移民2世のジダン選手は時折、激高することがあるものの、
普段は紳士的な選手として知られている。イタリアとの決勝戦、前半7分、
人を食ったようなチップキックでPKを決めた。延長前半14分には強烈な
ヘディングシュート。かつて中田英は自身のホームページで「彼の周りだけ、
まるで流れている音楽が違うかのように、相手のタイミングをことごとく
はずす」と表現した。彼との別れを惜しむファンは、その流麗なプレーを
最後まで堪能したかったはずだ。

延長後半5分。ビデオによると、イタリア陣内でマテラッツィ選手の密着マークを
受けていたジダン選手は何事かを言い合いながら自陣方向にゆっくりと走り始めた。
さらに背後から何かを言われると、向き直って突然、胸のあたりに頭突き。
マテラッツィ選手背中から倒れた。信じたくない光景だった。
主審がジダンの前で赤いカードを高々と上げた。不世出のMFが
ピッチ脇に置かれた黄金のトロフィーの横を通り過ぎ、階段の下に消えてゆく。
数々の栄光に彩られた“伝説”の最終章を自ら汚してしまった。


フランスのチーム関係者は「イタリア選手が何を言ったのかは知らない」
(ドメネク監督)「何が起こったのかは聞いていない」(アンリ選手)と話して
おり、原因は当事者の二人が「黙秘」している。

マテラッツィが何か暴言を吐いたことは間違いなさそうだが、それでも耐えて
ほしかった。特に新しいサッカーファンに、ジダンが「あの頭突きをした選手」として
記憶されることになっては、あまりに悲しすぎる。


とはいえ、フランス人のサッカー好きに言わせると、ジダンは確信犯であるらしい。

1998年フランスW杯で南アフリカの選手を両足で踏みつけ(2試合出場停止)、
ユベントス時代の2000年チャンピオンズリーグではハンブルガーSVの選手へ
頭突き(5試合出場停止)、レアル・マドリード時代の2004年リーガ・エスパニョーラ
ではムルシアの選手に対して頭突き、また、2005年のリーガではビジャレアルの
選手に対して突然平手打ちをするなど、瞬間的に頭に血が上りやすいことでも
知られている。ジダンのあの顔を見る限り、レッドカードを覚悟していたのかも
しれない。

いまだジダンは黙秘したまま。噂では人種差別的発言(「アルジェリアの
テロリスト」と言われた、というもの)が理由であるならば、それを発した
マテラッツィは、相当重い処分を下されることになる。

だからこそ、ジダンは黙っているのかもしれないのだ。サッカーに熱く
なりやすい性格であると同時に、移民であることや移民そのもへの侮辱的は発言に
対する過剰な反応というよりは、許せないと強く思う正義感、そして何より紳士的な
姿が彼自身を無駄な言い訳から遠ざけているのだろう。


最近では、2006年ドイツW杯の韓国戦で警告累積、次の試合が出場停止になった際、
競技場内の扉を蹴り壊した。通常は修繕されるものだが、施設側は「サッカー史上
最も偉大な選手の一人に蹴られた扉」ということでそのまま保存することに決めた。

サッカーを辞めると宣言して臨むワールドカップもあれば、
全試合終了後に、サッカーを引退して新しい旅をすると言う者もいる。
全ての者が終わりを迎えるが、どの終わりも美しく、儚い



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